個展「ドメスティック☆脳内」にあたって
島国日本はもともと文化的に自閉的な傾向がある。
戦後敗戦国日本は文化を破壊され、その割れ目に怒涛のように西洋文化が入りこんできた。人々は桃源郷のような憧れを西洋に持つようになり、その影響を受けた戦後の少女漫画は多くの少女の精神的支柱となり美化され歪曲化していき、憧れ存在=外国という概念がこの国の文化の一つのかたちを形成していった。
反対に戦後取り残されたかに見える水木しげるやつげ義治のような日本的アニミズム、日本独自の自閉的文化も脈々と生き続けている。
彼らの作り出す内面の神話の世界は、ある種のおぞましさや不穏さを漂わせながらも、すっかり西洋化されてしまった日本人に自身の原点を思い起こさせてくれる。
これらの作品の熱烈な愛読者であるYuri Yoshidaはこの二種類の文化を取り入れ、自身のドメスティックに沸騰した妄想を、シュールかつエロティック、時にグロテスクに表現する作家である。その点で彼女は、とても日本的な作家といえる。彼女の独自性は、日本的アニミズムや神話を表現する際、あえて西洋絵画の伝統的技法や古典的モチーフを使い二つの源流を交差させるところだ。このギャップは彼女の作品に、様々な歴史・時代感覚の入り混じった奇妙なリアリティーを与えている。
ルンパルンパギャラリー
絹川大
吉田 有里
Yoshida Yuri
1985年
石川県出生
2010年
金沢学院大学美術文化学部 卒業
[個展]
2011年 個展「粘膜」 / システマギャラリー、大阪
個展/Hotel Holy Himalaya、ネパール
2012年 個展「メメント・モリ」/ギャラリールンパルンパ、石川
2014年 個展「ドメスティック☆脳内」/ギャラリールンパルンパ、石川
[主なグループ展など]
2010年 金沢学院大学卒業制作展 / 石川県立美術館、石川
あさご芸術の森大賞展2010 / あさご芸術の森美術館、兵庫
2011年 現代美術選抜招待展 / システマギャラリー、大阪
日中選抜14人展/システマギャラリー、大阪
世界堂大賞展/新宿世界堂本店
2012年 ART KYOTO2012/ホテルモントレ京都、京都
doors art fear in Seoul/インペリアルパレスホテル、韓国
2013年 BANK ART FAIR/シャングリラホテル、香港
壺中天…、坩堝展/ギャラリールンパルンパ、石川
KIAF ART FAIR13/COEX、韓国
PLUS ULTRA/スパイラルホール青山「絹川大」、東京
HENTAI展/システマギャラリー、大阪
2014年 Select fair NYC/チェルシー、アメリカ
神戸アートマルシェ/メリケンパークホテル神戸、神戸
PLUS ULTRA/スパイラルホール青山「絹川大」、東京
2011年 第28回FUKUIサムホール展 優秀賞
2012年 第29回FUKUIサムホール展 奨励賞